鉄道模型業界の革命家集団~RFC

  模型は“おもちゃ”とあなどるなかれ。
その走行に極度のリアルを追及している人たちもいます。今回はそんな団体『RFC』をご紹介しましょう。 

鉄道模型は、電源装置を使って車両を走らせます。その電源装置では模型走行用の電気を作り出すだけでなく、スピードをコントロールしたり、進行方向を切り替えたりといった操作を行なうことができます。ただ、この従来の電源装置では、1つの線路に1編成の車両を走らすことしかできませんでした。そこで、DCC(デジタル・コマンド・コントロール)というシステムを導入し、実物と同じように1つの線路上に多くの電車を自由に走らせ、「ダイヤ運転」を再現した団体があります。
それが、任意団体RFC(Railway Fan Club)です。 

誕生から成長

 

RFCはもともと都立高専の学生を中心にできた、鉄道研究会だったそうです。
「最初は普通にぐるぐる走らせるだけだった」と話してくれたのは会長の本田さん。
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■ダイヤグラムの説明を楽しそうにするRFC会長 本田さん。

「それが DCC というシステムを2001年の時に入れて、それで他列車との同時運転ができるようになり、じゃあもっとイノベイティブなことをしようよということでダイヤグラムを入れてみようとなって……」。 

2002年、RFCは「国際鉄道模型コンベンション」で初めて革命的なシステムのお披露目をしました。その時のテーマは「阪急」。そこで大きな反響を受け、毎年違うテーマの路線を1年かけて調べ上げ、さまざまな活動や展示を行なっていく現在の姿になったそうです。

「最初は本当に3本くらいの列車で回して、それが5本になり10本になりっていう感じで増えていきました。電車が増えてくると、じゃあ保安装置付けなきゃいけないから信号機をつけて、と。それも後から入ってきた人が信号機を作れるっていうので、導入したんです。今は信号機がないと電車が全然動けないところまで来ています(笑)」。 

なかなか実践できないシステム化された運転。もとからそこを目指していたのではなく、実物の鉄道と同じように電車を走らせようとして、自然と見えてきた答えが、最終的に鉄道会社と同じ形になったと言います。鉄道模型のサークルと言うと、みんな電車が好きで模型が好きな人が集まって、ジオラマを作るというイメージがありますが、RFC はそういうサークル活動とは一線を画した運営を行っています。 

現在の会員数は35人。今の会社組織そのものの運営に対する反発もやはりあったようですが、それぞれが各部署でプロフェッショナルな働きをされています。 組織として大きいものをやろうとすると、それぞれ専任の人間がいないと形にならない。
例えば「京浜急行をやりましょう」となると、京急の車両をたくさん揃えなければいけない、実物通り走らせるにはダイヤをひかなければいけない、信号機を作らなければいけな い……。イベントで誰がその日に現場へ行って、何を運転して、いつ休憩をして、というところまで考えなければいけない。そうして、今や鉄道会社や鉄道模型ファンを中心に熱い注目を集めるような組織になってきました。

 

ダイヤ運転の再現とは

 

1時間を1分に換算して24分間で1日のダイヤ運転をするRFCの鉄道模型。
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■実際に使用したダイヤグラム。

「最初は10分間でやったりですとか、ここに辿り着くまでにやっぱりいろいろな葛藤がありました」(広報・塩見さん) 

実物と同じ時間で動かすことは予想以上に難しさがありました。実物は1/1の世界で動いているので、物が小さくなれば時間の流れも変わるからです。その調整や、運転士の疲労具合などを考え、さまざまな試行錯誤を重ねて「1日=24分」に至ったと言います。 

「何分間がいいんだろう。例えば朝ラッシュだけをやるのか、特急が走るのだけを再現するのか……。始発電車が出て、特急が動き出して、夜になるとイブニングライナーが走り出して、終電が山手線の接続でちょっと遅れて発車します、とかネタをやったほうがいいのか……」。 

ただダイヤを忠実に再現するだけでなく、各路線の特徴を抽出しておもしろいところはどこかを見定めることも重要なのだそうです。ファンの方や来場者が楽しめるような工夫が随所に見られます。そういう姿勢が子供から電車の運転士さんまで多くのファンを集める理由 の一つなのかもしれません。
しかも鉄道会社に呼ばれて行うイベントは必要経費以外、すべて無償で行っています。

「もともと、『どこかで模型を走らせたいよね』というのがあって、会場に呼ばれなければ自分達で場所代を払って借りてやるので、それがないのを考えれば無償でいいのかなと思う人が多いんです。活動する一番の理由、なんでやるのかっていうところが、会長なんでしたっけ(笑)?」(塩見さん)  

「え?ああ(笑)。お客さんに見て楽しんでいただくことが、見て喜んでもらえるのが僕 たちにとっても楽しいというのが大きいところなんです」(本田さん) 

とても良いコンビネーションですよね。
これまでに有料化の話は出たそうですが、走行を安定させることが難しいため、まだまだそこには至っていないそうです。

 

RFCのめざす先

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■イベント中の写真。真剣な表情の運転士。

「今は私達が負担している部分がまだまだ大きいんです。そこをどうやって分散化して、いろんな会社さんにもっと認めてもらえるようになるかというのが今後の目標ですね。もう1つは、鉄道模型をダイヤ通りに走らせるという行為そのものがまだ確立されていない中で、RFC ならではのノウハウや技術がありますので、それを日本水準に持っていきたいね、ということを技術部門で話しているんです」(塩見さん) 

「正直、お金をとることはあまり考えてないですけど、『うちにも来てよ』っていう数が増えてくれると、もっと経費を出してもらえるようになって、もっとすごいものが作れる! っていうのはあります。 あと、今は資材置場がなくて各家庭で持っている状態なんです。東急さんのジオラマも京急さんもほかの鉄道会社のジオラマも全部一つのところに集めてるんですよ。それを、東急さんのジオラマだったら、東急さんの倉庫1戸借りられないかなぁと思っています。会場に行って、出して、引いて走らせるだけみたいにできたら最高です!」(本田さん) 

ダイヤ運転のリーディングカンパニーとして夢は大きくふくらみます。 RFC が京急なら、泉岳寺に車両が着いたら、その先は運転士が交代して別のサークルがやる。もっと多くのサークルや団体が同じような「1日=24分制」を導入していけば、その路線は実物の鉄道会社と同じようにどこまでも広がっていきます。 

RFC とともに夢の続きを見ましょう! 

 

(写真提供 / RFC 取材・文 / 荒木みか)

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