『ChouChou POPON~伝道師が導く新たな世界』

2016年2月1日、東京・銀座。
全国に鉄道模型店を展開する「ポポンデッタ」。鉄道模型の伝道師たちが新たに仕掛けたのは大人のための夜のテーマパークでした。
それが、「バー銀座ChouChou POPON(シュッシュッポポン)」。

オープンしてまだ数カ月ですが、その楽しみ方は多くのメディアに取り上げられ、これまで鉄道模型に興味がなかった人にも新たなエンターテインメント空間として受け入れられているようです。

今回は、仕掛け人である太田社長、長澤創造事業本部長にお話をうかがい、その魅力に迫ってきました。
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大人にも秘密基地がほしい!

ポポンデッタはレイアウトを走行する鉄道模型を眺めながらお食事が楽しめる「鉄道カフェSTEAM LOCOMOTIVE」を3店舗運営しています。これまでのカフェはお子様連れのファミリーの利用がほとんどだったといいます。カフェでは太田社長も居づらく感じていたとうかがったのですが?

「そうなんですよ。ショッピングモールに入っていることもあり、どうしても『子どもたちの王国』なんですよね。楽しんでもらえているのを見るとうれしいんですが、その中に大人だけで居るとなるとハードルが高い! だから今回は自分も落ち着いて居られる大人のための基地にしようかな、と(笑)」。

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それだけではなく、もともとこの場所にあった鉄道バーがなくなるというのを聞き、「その火を消してはいけない」という思いもあったそうです。そう考えていた頃に、これまでコンテンツ畑を歩いてこられた長澤本部長が入社し、「鉄道模型とエンターテインメント」をコラボさせよう! という発想が生まれたそうです。

 

トレインナビゲーターが紡ぐストーリー

今やChouChou POPONの名物の一つとなっているのがトレインナビゲーターと呼ばれる語り部たちの存在です。

「エンターテインメントというのは、要は訴求力なんです。つまんなければ意味がない! 『山手線の中で出会った2人の恋物語』や『北海道新幹線H5系グランクラスに乗って旅をする物語』。日によって、お客様によって替わるストーリーがあると、その空間により一層浸れると思うんですよ」(長澤本部長)。

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鉄道バーというと、これまで敷居が高いイメージがありましたが、店の雰囲気づくりに細部までこだわった効果があってか、お客様の7割近くがこれまで鉄道模型に興味のなかったカップルや女性同士だといいます。

もちろん、コアな鉄道模型ファンにも納得していただけるよう走行列車の選定には特に気を遣っているそうです。北海道新幹線の開業前には一足早く『H5系はやぶさ』を走行させたりと工夫を凝らしています。
6月14日からは『カシオペアクルーズ』の運航を開始させました。

〔カシオペアクルーズ〕
16年に渡り人気を博し惜しまれながらも3月で廃止になった「カシオペア」をわずか34 名の定員で貸し切り、日本海から東北・北海道を周遊するオリジナルルートを巡る列車のクルーズ旅行です。

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カウンターレイアウトの高架線は、青函トンネル区間をイメージしています。『北海道新幹線H5系はやぶさ』と『EH800が牽引するカシオペアクルーズ』がすれ違う様を楽しむことができます。
ライトなお客様に目を向けつつも、鉄道模型ファンを大事にしているのがわかります。

 

今日の気分は『北斗星』!?

列車の走行を眺めつつ、キラキラした空間に素敵な音楽、そしてバーと言えばやはり「お酒」ですよね。今日の気分をドリンクにして提供してくれるのが店長の中野さん。繊細なNゲージのメンテナンスには苦労しつつも、鉄道バーならではのオーダーにお応えすることにバーテンダーとしての腕の見せ所を感じていらっしゃるそうです。

「『千代田線つくって!』というオーダーに、どんな色だったかな? と、慌ててインターネットで調べることもよくあります(笑)。あと地方の列車の名前を挙げられると、なかなか難しいですね」

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オリジナルトレインカクテルだけではなく、常時150種類以上のドリンクが用意されています。そしてこの夏からはサマーメニューも登場するそうです。
季節を取り入れたカクテルにも注目したいですね。

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こちらはサマーメニューでお披露目される「フローズンマルガリータ」。
冷やしたシャンパングラスのふちをライムでぬらし、塩をつけてスノースタイルに。暑い夏に最高のキリッと引き締まった味わいです。
『カシオペアクルーズ』を眺めながら飲む一杯に知らず知らずの内に笑顔がこぼれます。

 

小さな“ハコ”からはじまる新たな世界

鉄道模型の中古専門店からスタートし、レンタルレイアウトにカフェ、そしてバーへと新しい事業をどんどん展開していっているポポンデッタ。
この先に見据えるものは何なのでしょうか。

「これまでも『鉄道模型のもつ楽しさをより多くの人にお届けし、鉄道模型の力で人と人とのコミュニケーションを活発化する』という思いでやってきましたし、それは変わりません。そして、これからは『鉄道ストーリー』をラジオで放送したり、朗読劇をカフェでもやったりとエンターテインメントの部分に力をいれていきたいです。それから例えば鉄道事業者様とのコラボをもっとさまざまな形で展開させてホテルのカフェやバーが『鉄道カフェ』や『鉄道バー』にすることも提案していきたいです。
そうやって鉄道模型の世界を広げていきたいと思っています」(太田社長)

長澤本部長いわく、「われわれは『伝道師』にならないといけないんです」という言葉にすべては集約されているのかもしれません。
「バー銀座ChouChou POPON」は伝道師たちの集う店なのでしょう。

17、18坪の小さな店。ですが、その中身はとても濃く、その先にあるものを予感させる素敵な世界が広がっています。

 

【 バー銀座ChouChou POPON 】
 http://chouchou-popon.jp/

 

( 取材・文 / 荒木みか )


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