【児童書】「はしれディーゼルきかんしゃデーデ」

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【作品紹介】

2011年3月11日。

東北地方を襲った大震災は東北本線など、郡山や福島へ燃料を運ぶ輸送路を分断しました。

福島・郡山などのエリアへの鉄道網で、唯一無事だったのは現在、貨物輸送が行なわれていない磐越西線だけでした。

しかし、非電化区間の磐越西線を通すには電気機関車は使えません。

そこでわずかに残っているディーゼル機関車DD51が日本全国から集められました。

 

鉄道マニアの間では「復興貨物」の名で今も伝説として語られている列車の実話を、擬人化を用いて子どもたちにも伝わりやすい絵本としたのがこの絵本です。

 

擬人化もさることながら、リアリティーの中にも暖かみを感じさせる挿絵は「すばらしい!」の一言です。

この種の絵本はいいかげんな挿絵になりがちですが、色も形も忠実に再現されており、子どもだけでなくマニアも納得する挿絵は特筆ものでしょう。

それだけに現場の緊張感もひしひしと伝わってきます。

 

ここで内容を書いてしまうのは無粋というものでしょうが、マニアなら覚えているであろう一本目の列車の「あのエピソード」ももちろん入っています。

ご存知の方も多いと思いますが、鉄道のすごさ、すばらしさがストレートに伝わる「あのエピソード」です。

 

お役御免目前であった機関車たちが、これほどまでに人の役に立つとは誰が想像していたでしょう。

これを読んで育った子どもは将来鉄道業界を志したり、鉄道マニアになることは間違いありません。

しかし、子どもたちはもとより、子どものいない大人にも手に取って読んでいただきたい一冊です。

文科省推薦にしてもらいたいくらい秀逸な絵本ですね。

 

「はしれディーゼルきかんしゃデーデ」

文・すとうあさえ

絵・鈴木まもる

童心社

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