【トレイい話】磐越西線で見た心温まる話

乗り鉄や撮り鉄で地方に行くと、首都圏では見られないほのぼのとした、のどかな光景に行き当たることがあります。

今回は私が以前、会津若松駅で見た心温まる風景のお話をしましょう。

 

何年か前の話ですが、当時走っていた『あいづライナー』に通常使われていた485系電車に代わって、今も人気の583系電車が運用についていたことがありました。01私は会津若松のホテルに泊まり込み、朝から晩まで583系の撮り鉄&乗り鉄三昧をしていました。

 

朝、会津若松から『あいづライナー』に乗って郡山へ行き、そのまま折り返して磐梯町で降りて撮影ポイントを探し、丸一日撮り鉄という予定でした。

583系独特の折戸が閉まる光景が撮りたくて、折り返しの郡山駅発車時、私は最後尾のクハネのデッキでビデオカメラを回していました。

傍から見れば完全に“挙動不審者”ですね。

 

発車ベルが鳴り折戸が閉まりました。

ところがその時、中学生か高校生くらいの、ジャージ姿の女のコが走ってきました。

とはいえ、時すでに遅し。

列車は動き出してしまっていました。

 

時期的に中間テストか何かあったのかもしれません。

(あ〜あ、かわいそうに。遅刻だろ……。)

そう思いましたが、ドアが閉まって動き出しているのでどうすることもできません。

 

しかも磐越西線は、ほぼ1時間に一本しか列車がなく、この1本逃すとシャレになりません。

女の子は息を切らせながら、動き出した『あいづライナー』を少し追ったのですが、途中であきらめ、残念そうに見ていました。

 

ところがその時、「プシュー!」と音がしたかと思ったら列車が止まったのです。

なんと車掌さんが、非常停止ボタンで止めたようなのです。

 

そして車掌さんが女のコに声をかけました。

「わがまづいぎだよ〜♪(会津若松行きだよ)」

東北弁の優しい響きでした。

 

女子校生は息を切らせながら、「はい!」と答えると、車掌さんがドアを開けてくれたのです。

 

クハネの折りたたみドアが開きます。

「ありがとうございます!」

女の子ははそう言ってクハネに乗り込んできました。

 

デッキでビデオを回していた“挙動不審者”の私は、女のコと目が合ってしまいました。

すると女のコは恥ずかしそうに私におじぎをしました。

思わず私が「よかったねえ……」と、言うと、女の子は「え? あ、はい……」と言って、あわてて前の車両に移動して行きました。

あわててようやく乗ったところに、不審なオヤジに声をかけられたのでびっくりしたのかもしれません。

 

何で急いでいたのかを聞くことはできませんでしたが、女の子は遅刻をせずに済んだことでしょう。

 

都会ではありえない光景にちょっとほのぼのしました。

 

 

執筆者:神田勲
《ぷぅやん》当サイトの管理人。撮り鉄一筋のキャリアは40年以上。2008年より中国に渡り、現役の蒸気機関車を追い続ける。その活動をYouTubeに投稿し続け、チャンネル登録者は約9000人を超えた(2016年5月現在)。その派生形として、当サイトを立ち上げた。

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