小田急新型ロマンスカー70000形をマニア視点で検証する!

みなさんこんにちは。

当サイトの管理人ぷぅやんです。

さて、小田急ロマンスカーに待望の新型投入が発表となりました。

70000

新型ロマンスカー70000形(小田急電鉄HPより)

そこでじっくりとリリースを見ていたのですが、「おや?」と、気になったことがいくつかありました。
いや、普通の人ならスルーしてしまいそうな細かいことなんですけど、鉄道に関してはそんな細かいことが気になってしまうのが私の悪い癖。
『相棒』の杉下右京ばりに小田急電鉄さんに問い合わせてみました。
そこで得られた情報を基に、新型ロマンスカー70000形をマニア視点で検証してみます。

今回の70000形の構造ですが、最大の特長は先頭車両がロマンスカーの伝統とも呼べる展望席となっていることです。
NSE3100形からの伝統である展望席は、運転席を二階に上げ車両の先頭まで客席があり、まるで運転席にいるかのような風景が楽しめます。

nse

1963年に初めて展望席を採用したロマンスカーNSE3100形

小田急ロマンスカーの名が世界的にも有名になったのは、伝統的にこの展望席を採用しているからです。
これはうれしいことですね。

しかし、現在はVSE、LSEと各2編成ずつの4編成しか展望車を持った編成がありません。

現在、小田急のフラッグシップVSE

現在、小田急のフラッグシップVSE50000形

現在、最古参のロマンスカーLSE7000形

現在、最古参のロマンスカーLSE7000形

現状では編成の運用にあまり余裕がなく、とくに休日ダイヤでは1編成でも車体トラブル、もしくは検査入場などがあると、代走に展望席のないMSEが入る
ことになります。
そんな状況の中で新型ロマンスカーに展望席をつけるのは、悲願とも言えるでしょう。

ただし、この他の点で気になることがあります。

小田急電鉄さんのHPのリリースによると、概要は以下の通りとなっています。

1.車両形式 70000形 コンセプト:「箱根につづく時間ときを 優雅に走るロマンスカー」
2.編  成 7両固定編成(ボギー車・編成長約142m)
3.編成定員 400名(全席指定)
4.製造両数 2編成14両
5.車両完成 2017年11月(予定)
6.営業運転開始 2018年3月(予定)

はい。

長年にわたりロマンスカーのファンを続けてきた身としては、いきなりカウンターパンチを喰いました。

もちろん2項目目の「7両固定編成(ボギー車・編成長約142m)」という部分です。
7両で142mということは1両約20m。
え? 20m??? でもってボギー車??? 連接台車じゃないの???

小田急ロマンスカーといえば、旧くは1957年に登場した3000形SE(後にSSEに改造)から連接台車が伝統的に採用されています。

写真はSSE改造後の3000形

写真はSSE改造後の3000形

もちろん途中でRSE、EXE、VSEなど、20m車両でボギー車のものも登場しました。
ですが、それはあくまでサブ的なロマンスカーで、箱根観光に重点を置いたフラッグシップを務めるロマンスカーには、現行のVSEがそうであるように、 つねに連接台車が採用されてきたのです。
連接台車は展望席と並んで小田急ロマンスカーの大きな特徴です。
今回発表となった70000形のイメージのイラストを見ても、おそらく20m級のボギー車であることは間違いありません。
これには正直、驚きました。

ここで連接台車について説明しておきましょう。

連接台車とは車両と車両の間に台車を配置することによって、乗り心地を向上させる方式です。
VSEとMSEの台車の写真をご覧ください。

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MSEの台車は車端部に2軸の台車がついている

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VSEは2つの車両が2軸の台車にまたがっている

MSEは一つの車両に対して2軸の台車が二つ、つまり一つの車両に4軸、VSEは二つの車両に2軸の台車がまたがっているので、一つの車両に2軸ということが
おわかりいただけると思います(ただし先頭車と最後尾は3軸)。
この構造の難点としては「車体を短くしないとカーブを曲がれない」ということがあります。
そのため、現行のVSEやLSEは一両の車体が13.8m、LSEは12.5m(いずれも中間車)となっています。
この異次元とも言える構造は、国内外を問わずあまり例を見ません。
走行音にも特徴があり、通常電車というとガタン、ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン……と続きますが、連接台車はガタン、ガタン、ガタン、
ガタン……と続くのです。
これは二軸の台車が等間隔に配置されているからです。

展望席に連接台車。
だからこそ小田急ロマンスカーには高級感や風格があったのだと思います。

さて、そんな伝統ある連接台車を採用しなかった理由は何でしょう?
小田急電鉄さんに直接質問を投げかけてみました。
すると思いもよらぬ答えが返ってきました。

「ホームドア設置の関係です」。

あー!なるほど!
昨今、首都圏の駅では混雑時のホームの危険回避のため、ホームドア設置は必須条件となってきています。
通勤電車はすべて車体が20mです。
となると今後、車両長が合わない車両は使い勝手が非常に悪くなることでしょう。
また、沿線にベッドタウンを抱える小田急電鉄では、『ホームウェイ』としてロマンスカーを通勤特急として使用しています。
現在の主力はEXEやMSEですが、VSEやLSEが入ることもあります。

mse

LSEの代走にも入るMSE60000形

当然、新型70000形も使われることとなるでしょう。
おそらくその頃はホームドアもかなりの駅で完備して、車体の長さが合わない電車は困るわけです。
個人的には「車体長10mにして連接台車にして、ドアは各車両片側ずつにすればドア位置を合わせられるじゃないか!」……なーんて妄想したりもしまし
たが、そこまでして連接台車にこだわる理由はもはやないのだと思います。

さて、ここまでお話して気になるのはLSE、VSEの去就です。
70000形の運行開始は2018年3月となっているので、その時点でLSEは引退となるでしょう。
そしてホームドアに対応できなくなる可能性のあるVSEも心配です。
過去にはバリアフリーの関係でハイデッカー構造であったHiSEが思いのほか早く引退してしまったという前例もあります。
今後の動向が気になるところですね。

 

文・写真/ぷぅやん

《ぷぅやん》
本名=神田勲。当サイトの管理人。幼少期から鉄道好きで、撮り鉄歴40年以上。プロカメラマン・編集者として活動しつつ、中国の現役蒸気機関車を追い
続け、作品を YouTubeやDVDで発表。2016年5月、キャリアの集大成として当サイトを立ち上げた。

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