【海外】1994世界放浪の旅(プロローグ)

『鉄道王(レイルキング)』の読者のみなさん、はじめまして。

自分は普通に記者と思っているのですが、格闘技ライターと周囲に称されることが多い髙島学と申します。

そんな回りの人の認識は決して間違っていなくて、1995年に記者生活をスタートさせ、過去20年で格闘技以外の仕事をしたのは、匿名で旅行雑誌に海外のレストランやバーを紹介記事の寄稿、釣り雑誌で釣り堀の紹介、車について──そして、この仕事を始めた年にプロレス雑誌を手伝わせてもらったことがあるぐらいで、今世紀になってイレギュラーでいただいた男の料理に関してのコラムを除けば、格闘技外の記事を書いたためしがありません。

このように場違いな私がこの場で執筆させていただけるのは、当サイトの管理人であるぷぅやんと、15年以上も昔に格闘技雑誌の仕事を一緒にさせていただいたことがあったからです。

海外取材に行った際に、時間があれば現地で、子どもの頃から好きだった鉄道に触れることがままあるという話を、どこからか聞きつけたぷぅやんが、私に「鉄道について書いてみませんか」と声をかけてくれたのです。01

私は格闘技に関しての知識は人並み以上ありますが、実は文章力に関しては自信がありません。

他の記者が足を運ばないところに赴き、見聞きしたことで原稿を成立させてきたのが実情です。

ですから、この話をいただいた時に、とてもじゃないですが書けないと思いました。
初めて『鉄道ファン』を購入したのは10歳の時、神戸市営地下鉄が表紙の184号でした。以来、一貫して初級者レベルのファンでしかないです。
専門的なこと、技術的なこと、歴史、何も分かっていないといっても過言ではありません。

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興味の対象も路面電車と高速列車に特化しています。あとは新交通システムとローカル鉄道ぐらい。
格闘技を取材するうえで自分のフィールドとなった海外に関して、鉄道でも力が発揮できると思っていただいているようですが、ハハハ、とんでもないです。

日本のことも分からないのに、海外のことなんて分かりません。ただ、時間を見つけて路面電車に乗り、街を眺めているだけです。

それなのに強引なぷぅやんは、自分の記者生活をスタートさせるきっかけとなった‟ある期間”のことに言及してきたのです。
それは自分が1994年の2月から11月にかけて行った「世界放浪の旅」です。

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欧州、北アフリカ、北米、南米と回った放浪の目的は各国で格闘技のジム、武道の道場を訪れること。
各地の車のレースを観戦すること、加えて訪れた街の人々が普段口にしている料理を食べ、バスやレンタカーでなく、可能な限り鉄道を移動手段とするとことでした。

その時のことを書けということなのですが、ユーレイル・パスやアムトラックの米国ワールドカップ期間──割引パスを使った旅は、宿泊代を浮かすためにその多くが夜行列車を利用したものでした。

忘れてならないのは──この9カ月の放浪期間中、自分が何よりも大切にしていたのがカメラとフィルムだったということ。
言ってしまえば現金やパスポートなど、なくなっても何とでもなります。
その場に暫く足止めを食らえば良いだけで。
ただし、フィルムが盗まれると、その代役を務まるモノは何一つ存在しません。

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そこで鉄道好きな皆さんなら、話の行方はそろそろ見えてくるかと思います。
そう、夜行列車の移動、貧乏旅行をしたいわけではないですが、絶対的に贅沢なこともできない放浪期間中、一等寝台など使えるわけがありません。
そして──クシェット(簡易寝台車)は誰でも出入りできます。

その後、このような人生を送ることは予想だにできなかった私にとって、最初で最後の放浪の旅──己の存在証明のように写真だけは残さないといけないという小さな了見で、各大陸をふらついていました。
つまり夜行列車でカメラを持ちだすのはご法度、実際に夜行でなくても、モロッコではコンパートメントに乗り込んできた強盗&詐欺師集団にしてやれそうなこともありました。

結論として、鉄道関連の写真が極端に少ないということです……。

なので──読者のみなさんのご要望に応えることができるような状況ではないのですか、それでも幾らかが残っている1994年の欧州や北米の鉄道の写真を紹介しつつ、その当時を振り返させていただこうかという所存です。

21年以上も前に現像し、プリントした写真はもう色褪せてしまっていますが──当時の空気感が少しでも伝わり鉄道大好きなみなさんの箸休めにでもなれば──幸いです。

それでは、皆さん、これから宜しくお願いします。

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文・写真/髙島学

 

《髙島学》
1995年よりフリーライターとして格闘技に携わり、格闘技専門誌で執筆。自らもMMAPLANET(http://mmaplanet.jp/)を立ち上げ、海外のMMAやブラジリアン柔術を国内に紹介している。仕事柄、海外に行くことも多く、その折に時間を見つけては路面電車やLRTにいそいそと乗車しているとか……。

 

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