【われら TETSU family】 file.9 音楽家デュオ ・スギテツ

独占インタビュー

sugitetsu

『クラシックを遊ぶ音楽実験室』をテーマに、誰もが知っているクラシックの名曲を、様々な音楽や環境音と融合させる異色のデュオ。
ピアノを担当する杉浦哲郎氏と、ヴァイオリンを担当する岡田鉄平氏の趣味が高じて、鉄道をテーマにしたアルバムをリリース。鉄道関連イベントにも数多く出演。
JR東海「リニア・鉄道館」CM曲などに起用される他、鉄道をテーマとしたラジオ番組「スギテツのGRAND NACK RAILROAD」(FM NACK5)のパーソナリティーも務める。

SUGITETSU is classic music players who continue “the musical laboratory”, namely that’s the music fused with various music and the environment sound.

Besides this unique duo plays a piano and a violin to make sound of train, barrier and melody on the train. That’s why many railroad fans love them.
SUGITETSU, Mr. Tetsuro Sugiura (piano) and Mr. Teppei Okada (violin) really love the railroad. At last they released an album which is deeply related to the railroad.

They composed  CM music of”Linear railroad house” of JR Central , and serve a radio program which is made up of the railroad theme. The name of program is “GRAND NACK RAILROAD  (FM NACK5).  Also they often appear on railroad events, so you can listen to the unique music there.

This time, “RAILING” recorded their play in a studio. Please enjoy the music to start youtube below the report.


今回はピアノを担当する杉浦哲郎氏に話を聞いた。

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お互いに鉄道好きであることは知りませんでした

 

――スギテツはどのような経緯で結成されたのでしょうか。

クラシックというのがもともと堅いイメージだったので、「ポピュラーなものにして遊んでしまう」という趣旨で始めました。ですから「こうしたい!」という強い気持ちではなくて、半分おふざけのような形でやり始めたんです。二人でスタジオでお茶を飲んでいるときに、「実はクラシック音楽をこういう面白い感じにして遊んでいるんですよ」、「そうなんだ、僕もそういうの好きなんだ」って(笑)。だから鉄道とは関係ないところから始まっていますね。

――鉄道も含む『冗談音楽』ですね。

そっちがもともとベースだったんです。その中で鉄平くんがいろいろとバイオリンで音真似ができるということで、パトカーのサイレンとか、犬の鳴き声とか、鉄道の音もその中のネタのひとつとしてありました。2007年ぐらいに『冗談クラシック』という名前でアルバムを出していく中で、最初は自分たちで作ったレパートリーを取り留めもなく入れていたんですけれど、テーマを持たせようということになったんです。最初はアニメソングとクラシックとか、刑事ものとクラシックとか、ジャンルを決めてクラシックとミックスさせていく中で、「鉄道はどうだ?」という話になったんです。もともと鉄平くんが鉄道模型好きで、僕は乗り鉄というか、鉄道の旅をプランニングするのが好きで、「じゃあ鉄道をテーマにしたアルバムを作ろう!」ということになったんです。『A列車で行こう』とか無数にありますよね。それらをカバーしながらクラシックとミックスしよう、と。その中でインバーターの音とかを挟んでアルバムを作ったんです。たまたまその中の『山手線上のアリア』という曲がミュージックステーションのトピックスとして取り上げられたんです。

――そこから『冗談音楽』の中の『鉄道音楽』として広く知られるようになったんですね。

ちょうどその頃って鉄道ブームが盛り上がってきた時期だったんです。『鉄子の旅』とか、あとはドラマもありましたよね。

――『特急田中3号』ですね。

ちょうどそういう時代に乗っかったっていう感じもあって、イベントとかに少しずつ呼んでもらえるようになって。それから鉄道をテーマにしたアルバムを定期的にリリースするようになりました。

――鉄道好き同士でユニットを組んだわけではないんですね。

もともとお互いに鉄道好きであることは知りませんでしたから。

――それを知るきっかけはなんだったんでしょう?

営業で新幹線に乗って、姫路駅かどこかで途中停まっているときに、向かい側に当時は少ないながらもまだ残っていた0系が走っていて、2人とも反応したというのがきっかけです。

――0系がきっかけだったんですねえ。

鉄道好きの中にもいろいろジャンルがあるじゃないですか。乗り鉄、撮り鉄、僕と鉄平も違うので、そのときはそれっきりだったんです。ミュージシャンで鉄道好きって割と少なくないと思うんです。ただやっぱりちょっとしたお仕事でレコーディングスタジオとかコンサート会場で顔を合わせるだけだと、そこまで踏み込んでお話するところまでいかないんです。打ち上げでそういう話になるぐらいですかね。他にも関わった人で10年後に知ったという人もいますよ。

――さっき演奏していただいたインバーターの音をバイオリンで表現するだとか、踏切の音階が各社によって異なるだとか、普通に生活していたら聞き逃してしまうような音に着目するというのは、音楽家として常に音を意識しているためなのでしょうか。

「なんとなく音が違うな」とは思いますけど、意識していたかというと、正直違いますね。よく絶対音感のある人が街を歩いているとすべてメロディーに聞こえてしまうってあるじゃないですか。あれ、僕は正直、嘘だと思うんです(笑)。だってそんなの大変じゃないですか。そりゃ意識すれば聞こえますけど、街中の雑踏ですとか、他人のおしゃべりが全部聞こえてくるわけないのと一緒ですよ。その音に対して意識が向かないと。「あれ? ここの踏切は音が低いな」ぐらいです。この活動をたまたま始めたのがきっかけで、意識して音を掘り下げていくようになったんです。鉄道って、音楽と親和性がすごく高いなって思うんです。

――お二人はスギテツとしてユニット組むまではどんなお仕事をされていたんですか。

僕はアレンジャーっていう仕事をやっていまして、CMに使う音楽を編集したりを、今も続けています。基本的にPCでやるんですけれど、生楽器の音が必要になることもあるんです。ストリングス、弦楽器の音が必要になったとき、たまたまよく行っていたスタジオに鉄平くんが出入りしていたんです。そのとき彼はまだ学校を出たばっかりで、この仕事も始めたてだったんです。

――そこで知り合いになったんですね。ところでお笑い芸人の方でネタの小道具として楽器を用いる人はたくさんいらっしゃると思うんですけれども、スギテツさんはもともとに音楽があって、そこから笑いも生まれる冗談音楽に発展していかれたんですよね。音楽家の方でそういう活動をされる方はたくさんいるものなのでしょうか。

あんまりいないと思いますね。いなくはないと思いますけど、少ないです。

――その中で、スギテツさんはお笑いの舞台にも立たれたりしていましたよね。

クラシックの世界では、冗談音楽という少しふざけた音楽をやっているというのは異端というか、アウトローというか、あまり受け入れられなかったんです。今でこそクラシック業界のいろいろな人とやらせていただくことも増えましたが、始めて5年ぐらいは本当に何もなくって……。最初に手を差し伸べてくれたのがエンターテインメントの世界だったんです。2009年ぐらいですか。品川のプリンスに吉本の劇場があったんです。そこはルミネみたいに毎日やっていたんですけれど。そこで芸人の方の間に漫才以外のネタをやろうという企画があって、1年あまり出させていただいていたことがあるんです。言ってみればお笑いを見に来ているお客さん相手に、10分という持ち時間を与えられて勝負をしなくてはいけなかったんです。

――それは大変ですね。

大変でしたが鍛えられましたね。そこでクラシックのパロディーをやるとなったときに、鉄道のネタというのは普遍的というか、うまく選べば比較的ニッチなネタであっても沿線の人が聞いたら「ああっ!」って、あるあるネタになるんですね。鉄道のいいところというのは、とくに都会の人は日常的に、好き嫌い関係なく鉄道に関するいろいろな音を耳にしているという点なんです。ちょっとしたことでも理解されやすいんですよ。アニメとか、好きじゃない人が聞いたら何が何やら……ってことも起こりうるんですけど、鉄道にはそういう垣根がないんです。オタク界でも鉄道は一番メジャーなんじゃないかな。『タモリ倶楽部』だとか、マニアックだけど半分笑いにもつながるメディアでの取り上げられ方をされるのは、そういう面白さがあるからだと思いますね。

――都会で鉄道は日常の中に存在しますからね。

そして、「いろいろな音も存在している」という面白さですね。

 

鉄道と音楽はすごく相性がいい

 

――鉄道に関する楽曲以外に、鉄道まわりの音そのものに着目するきっかけというのはあったのでしょうか。

音楽家で鉄道をネタにする以上、鉄道ソングをカバーするだけではヌルいと思ったので(笑)。もっと突っ込んだところにいったほうが面白いと思ったんです。動画撮影をしていただいた踏切りの音階の違いもそうですが、掘り下げてみたら面白い発見もたくさんありました。

――あれはまったく知らない人でも楽しめるところですよね。小田急がこうで、西武がこうで、と言われてわからない人でも「ああ、そうなんだ」って笑ってしまいますね。

あとは地方に行って鉄道とは関係ないコンサートをやらせていただくときも、ご当地のおなじみの音があるんです。大阪だったら御堂筋線の入線メロディーとか。

――大阪の人なら、みなさん耳にしている音ですね。

通勤や通学に使っていない人でも覚えのある音ですよね。以前NGK(なんばグランド花月)に出させてもらった時もそれで「ああっ!」ってなって。僕の地元の名古屋で言うと、7000系パノラマカーのミュージックホーンであるとか、各地にキラーチューンがあるんです。

――お笑いの方でも地方営業のときはご当地ネタを入れたりしますけど、鉄道はそういう面でも相性がよかったということですね。

鉄道はすごく相性がいいと思います。まあ強いて言えば、ミュージックホーンも駅メロもない地域はちょっと弱いですね(笑)。

――あらかじめ仕込みをしたりもするんですか。

しますよ。クラシックのパロディーに地元ネタというのもあって、地元の人だったら口ずさめるご当地CMとか、たとえば仙台で公演があるとしたら、ベニーランドっていう遊園地のテーマソングがあるんですけれど、楽天の試合中にラッパで演奏されるぐらい、その土地の人ならおなじみなんです。僕たちもよくモーツァルトの曲とミックスして「モーツァルトがベニーランドで観覧車に乗った」みたいな、前からそういうことをやっていたんです。同様のアプローチで探すと、その地域の鉄道のネタもハマるものが出てくるんです。

――いやあ、とても面白いお話でした。ありがとうございます。では最後に何か告知等ございましたらぜひ紹介させてください。

秋は各地で公演がたくさんあるのですが、鉄道を絡めたコンサートが11月23日に愛知県の稲沢市でコンサートがあるんですけれど……。

――稲沢ですか! 稲沢といえば愛知機関区ですね!

実はあの中に入ってチラシの撮影もしたんですよ。DD51の前で撮りました。

――それはすごいですね。マニア必見です。

じつは運営側のスタッフにマニアがいたんですよ。その人はいつかJR貨物とコラボしたいというのが夢だったそうで、JR貨物さんに話を持ちかけて「中で撮らせてください」と(笑)。当日はロビーでJR貨物のオリジナルグッズ販売や展示・制服試着撮影会もあります。
あと、10/21に名古屋のライブハウスにて、「大ナゴヤ鉄道フェスティバル」というイベントを主催します。こちらは僕個人の出演で、ゲストにFM NACK5「スギテツのGRAND NACK RAILROAD」でもご一緒しているホリプロ女子鉄アナウンサー久野知美さんが出てくれます。
その他、京都、大垣、静岡などで鉄道イベントに呼んでいただいてまして、順次告知されてゆくと思うので、スギテツウェブサイト(http://www.sugitetsu.com/)をチェックしてください!

――それは楽しみですね。とても面白いお話をありがとうございました。

 

 スギテツファミリーコンサート「鉄道物語 in 稲沢」

●日時:11 月 23 日(水) 14 時〜。

●場所:名古屋文理大学文化フォーラム中ホール(稲沢市民会館)。

●出演:スギテツ=杉浦哲郎(ピアノ・編曲)岡田鉄平(ヴァイオリン)、榎戸崇浩(ヴィオラ・読売日本交響楽団)、春日井久美子(ヴァイオリン)、内田玲(チェロ)、源石和輝(司会 東海ラジオアナウンサー)。新幹線先頭車両の打ち出し板金で作られたアルミの弦楽器が登場。

●お楽しみコーナー:JR貨物オリジナルグッズ販売、展示。制服試着撮影会(当日正午からロビーにて開催予定)。

●チケット販売場所:名古屋文理大学文化フォーラム、ヨシズヤ新稲沢店、チケットぴあ、ローソンチケット。

●入場料:3,000円、高校生以下1,500円。

 

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